肥満や糖尿病について
最近では、猫の肥満や糖尿病も増えてきています。飼い主は責任をもって生活習慣の改善をしていきましょう。
糖尿病の大きな原因は、炭水化物のとりすぎです。可愛いからと炭水化物の多い食事を欲しがるだけ与えていては、猫の健康によくありません。
内分泌疾患について
内分泌疾患とは
内分泌とは、ホルモンの働きのことを指します。内分泌疾患として代表的なのは、甲状腺機能亢進症という病気です。普段から喉にある「甲状腺」というところからホルモンが出ているのですが、甲状腺機能亢進症にかかると、そのホルモンが過剰に出過ぎた状態になります。
症状について
内分泌疾患にかかると、以下の症状がみられます。
- ちゃんと食べているのに痩せてきた
- 毛がバサバサしてきた
- 毛が油っぽくなった
- 以前より怒りっぽくなった
- 水を飲む量が増えてきた
- 排尿の量が増えてきた
内分泌疾患を放っておく危険性
症状が進行するとどんどん痩せてきて、しまいにはご飯が食べられなくなってきます。また、ストレスに対する抵抗力が弱まるので、ちょっとした環境の変化にストレスを感じたり、筋肉が弱くなって身体が抵抗力を失っていきます。心臓疾患や腎臓病を引き起こすことも多く、死にいたるケースもあります。
気をつけていただきたいのは、内分泌疾患は一見、健康そうに感じることもあるということです。たとえば、「よく食べてよく動いているから痩せてきた」「しっかり食べて排尿もしているから大丈夫」「歳をとってきたから、寝転んで静かにしている」など、飼い主さまからみると普通のように思えることが、実は内分泌疾患の症状だということもあります。
「気づいたときには手遅れだった」ということがないよう、日ごろからパートナーの様子をよく観察するようにしましょう。また、いつもと少しでも違うことがあれば、早めに医者へ相談しましょう。
内分泌疾患を治すには
内分泌疾患には、「腫瘍ができる場合」と「過形成の場合」があります。ただし、全体的にみて腫瘍化するものは少なく、できたとしてもほとんどの場合が良性です。
まずは、血液検査で甲状腺のホルモンの量を調べます。ホルモンの量が高いと確定したら、ホルモンをおさえる薬を飲んで治します。それでも治らない場合は、甲状腺そのものを取る手術を行うこともあります。
猫に多い内分泌疾患の種類
主なものは、「糖尿病」と「甲状腺機能亢進症」です。また、糖尿病に関連して起こる「末端肥大症」という病気があります。これは、顎の一部や手または身体全体が肥大化する病気です。うまく血糖値をコントロールできなくなったり、糖尿病の治療の効果があらわれにくくなったりします。
皮膚病・アレルギーについて
こんな症状ございませんか?
アレルギーには、「食物アレルギー」「皮膚アレルギー」「紫外線アレルギー」などがあります。
食物アレルギーになると、顔の前面にぶつぶつができて、かゆみを伴います。ひどくなると、耳や目の上に潰瘍のようなものができることもあります。
日光や紫外線によるアレルギーになると、耳のふちや目と耳の間など、毛の薄いところが炎症を起こしてぶつぶつができます。ひどくなると耳のふちに潰瘍ができ、耳が欠けたような状態になることもあります。
アレルギー性皮膚病を放っておく危険性
皮膚炎を放っておくと、かゆみがだんだんひどくなります。かゆみに耐えられないと、猫は自分で炎症部位をひっかいて、さらに傷をつけてしまうことがあります。
紫外線アレルギーを放っておくと、紫外線を繰り返し浴びることになり、皮膚の核が傷つけられます。さらに放っておくと、がん化して「扁平上皮がん」を引き起こすこともあります。
食物アレルギーの場合は、くわしい検査を行い、感染症などの他の原因などを除外していきます。検査の結果、食物アレルギーの可能性が高い場合は、まずは食べ物を変えることから始めます。
アレルギーの出にくい食事に変えたり、まだアレルギー症状が出ていなかったときの食事に戻したりしてみて、それで症状が治まるかどうかを確認します。
紫外線アレルギーの場合は、なるべく紫外線を浴びないように過ごしてもらいます。また、炎症を起こしているところに軟膏や紫外線から肌を守るための日焼け止めを塗ったり、かゆみをおさえるための消炎剤を使ったりします。
猫に多い皮膚病の種類
ノミが寄生することによって起こる「粟粒(ぞくりゅう)性皮膚炎」があげられます。ざらざらとしたぶつぶつができ、強いかゆみを伴います。かゆみがひどい場合、猫が自分の身体をなめたりひっかいたりすることで、出血や皮膚のただれ、脱毛といった症状を引き起こします。
また、ストレスが原因の場合もあります。「あれ?」と思ったら自己判断をせず、早めに診察してもらうようにしましょう。
猫を飼う上で注意すること
猫は我慢強い生き物なので、ストレスや病気を抱えていても気づかないことがあります。飼い主さまが生活環境を整えてあげると共に、日頃からパートナーのことをよく観察してあげてください。
猫は見知らぬ場所に対して犬よりも緊張します。具合が悪くなってから慌てて来院するのではなく、日頃から健康診断などに定期的に通いましょう。病院に慣れておくと、いざというときにスムーズに診察できるので安心です。
また、ワクチンは一度接種しただけでは、完全に感染を防ぐことができません。当院では、毎年ワクチン接種を受けることをおすすめしています。